圧電セラミックスの材料特性
圧電特性の概要
圧電特性を表わす場合、 形状や方向性などの一定条件を必要とし、 これらの条件をベクトル量やテンソル量などで各々の記号を用いて表わします。 従って特性表の記号に付している肩文字や脚文字は、 厳密にはそれぞれの意味をもっていますが、 概略を次に示します。

応力(又は歪)が1軸方向
歪(又は応力)が1軸方向
せん断応力が2軸の回転方向
せん断歪が2軸の回転方向
歪(又は応力)が1軸方向
電極面の法線方向が3軸方向
応力(又は歪)が3軸方向
電極面の法線方向が3軸方向
せん断歪が2軸の回転方向
電極面の法線方向が1軸方向
電気変位が3軸方向
電極面の法線方向が3軸方向

分極軸に直交電極面のある円板の半径方向の定数
分極軸に直交電極面のある板の厚み方向の定数
分極軸に直交電極面のある矩形板の長さ方向の定数
分極軸に直交電極面のある棒の分極軸方向の定数
分極軸に電極面のある板の分極軸(又は直交)せん断方向の定数
分極軸に電極面のある板電極間自由電気変位(応力一定)
分極軸に直交電極面のある板の分極軸自由電気変位(応力一定)
真空の誘電率
分極軸に直交した電極面のある板の電極面方向の横弾性(電界一定)
分極軸に直交した電極面のある棒の分極軸方向の縦弾性(電界一定)
分極軸に電極面のある板の分極軸(又は直交)方向のせん断弾性(電界一定)

等価回路
圧電セラミックス素子は、 その共振周波数付近で図のような等価回路で表わされます。
インピーダンスZ / 位相θの周波数特性
制動容量
等価インダクタンス
等価容量
共振抵抗
周波数
この時の共振周波数付近のインピーダンスと位相特性は右図のようになります。

電気機械結合係数
電気機械結合係数は、 電気的と機械的との変換能力を表す係数で、 (生じた機械的エネルギー)と(与えた電気的エネルギー)、 逆に(生じた電気的エネルギー)と(与えた機械的エネルギー)の比の平方根で定義されます。 そして圧電効果の大きさを表す量の一つです。 共振と反共振周波数から求める実用式を示します。
(計算に厳密解を要する場合は、 (社)日本電子材料工業会標準規格 EMAS-6007をご照会下さい。)

共振周波数
反共振周波数
振動モードと係数a、 bの値
周波数定数
周波数定数は、対応する方向の長さとその基本共振周波数との積で定義され、寸法の決定や共振周波数を求めるのに用います。 振動モード別に次式で示されます。

誘電率と静電容量
誘電率は、 電界を与えたときに生ずる電気変位で定義され、 共振周波数よりも十分低い周波数での静電容量から求め、 圧電定数の解析などに用います。真空中の誘電率との比が比誘電率となります。これらの関係は次式のようになります。

特性表では比誘電率を記載していますので、 次の式となります。

電極面積 [ m2 ]
電極間距離 [ m ]

圧電定数
圧電定数は、 結合係数と共に圧電効果の大きさを表わす定数の一つです。 圧電定数には、 圧電歪定数、 電圧出力係数と、 圧電応力定数である の4つの定数があります。通常よく用いられるのはd定数と定数の2つです。 これらはそれぞれ次のように定義されます。




上式の定義のように、 定数からは印加電圧に対する変位量が、 定数からは加えた力に対する出力電圧の値がそれぞれ計算できます。 なお、 定数、 定数は、 定数、 定数とそれぞれ逆数関係あります。

弾性定数
垂直応力とその方向の縦歪との比がヤング率です。 特定の方向のみを対象にし、 他の方向を考えなければ弾性スチフネスとしても取扱います。 また、 弾性コンプライアンスは逆数の関係となります。

圧電セラミックスでは、 共振周波数を決定する周波数定数に直接関係する他、 発生力に関係する量です。

ポアソン比
ポアソン比は、 垂直応力によって生ずる横ひずみと縦ひずみの比で定義されます。

ポアソン比 は、 共振周波数や結合領域の共振に関係する量です。

誘電損失
圧電体に角周波数の正弦波交流電界を印加しますと、 無損失の場合は電気変位が電界に対しだけ進んだ位相で振動します。 しかし実際には電気変位が だけ遅れ、 その位相差分だけ損失が生じます。 この損失は、 誘電発熱変換されるなどの作用となります。 その模式は図ように示されますが、 図の等価回路中のの間には次式のような関係があります。

機械的
圧電体には、 誘電損失と同じく弾性損失があるため、 交流電界による応力に対して歪にの位相差を生じます。

このが機械的であり、 等価回路との関係は次式のようになります。
角周波数 共振インピーダンス
等価容量 静電容量
共振抵抗 共振 · 反共振周波数
等価インダクタンス
の大小は、 共振周波数における機械的な振動の鋭さに作用します。

キューリー点
圧電体の誘電率 は、 温度 の上昇と共に へ増大し、 その結果、 結晶が不安定となりある温度 を境に急激に結晶系が変化します。 この温度がキューリー点で、 分極を消失する臨界温度を表わし、 この温度では圧電性を失います。 高温域からの誘電率 の変化は、 次式の示す関係があります。

密度
圧電セラミックスの質量を決定します。

圧電セラミックス振動子のアドミタンス特性例
圧電セラミックスの質量を決定します。
振動子のアドミッタンス円
振動子のアドミッタンス図

振動子の形状と振動モード例
横効果振動子
(a)棒の伸び振動
(b)板の縦振動
(c)板の幅振動
(d)円筒の伸び振動
(e)円板の拡がり振動
(f)円環の拡がり振動
(g)円筒の拡がり振動
(h)厚みすべり振動
縦効果振動子
(i)棒の縦振動
(j)板の幅振動
(k)円板の厚み振動
(l)厚みすべり振動
分極方向
各種振動子の基本共振周波数
振動モード
振動子形状
部分振動
基本振動の共振周波数


屈曲振動
長さ振動
(呼吸振動)
面積振動
径方向振動
厚みすべり振動


長さ振動
厚み振動
厚みすべり振動
弾性表面波振動

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